GENTEN of nounou

お客さんによく聞かれる質問のひとつに

 

「ここは元々は古民家だったのですか?」

というのがあります。

 

古民家かどうかはよくわかりませんが、客席に使用している建屋は築50年を超える古い民家(昭和の長屋というか貸家というか)を改装して使用しています。客席のガラス窓が昭和の型板ガラスだったり、建て付けが悪くて引き戸が引っかかってしまったり、すき間風が入ってしまったりするのはそのためです。

 

昔から図工の時間や日曜大工作業が好きでしたので、店内の改装はほぼ自力のDIYと友人に少し手伝ってもらってリノベーションしました。

さすがに厨房の建物とテラス部分の骨組みは新築で業者さんに建ててもらいましたが、細かいところはDIYでアップデートの繰り返し。

まだ古民家カフェという言葉も聞いたことの無い頃に、自分の好きな場所を作ろうと思い始めたことがきっかけでした。

・・・と、ここまで語ってきて「いや、ちょっと待てよ。もう少し経緯があるな。」と思い出し始めましたので、今回はお店を始めるに至ったSTORYを書こうと思います。

思い返すと、高校生の頃から雑貨屋さんやカフェのようなお店が好きでした。たまに鎌倉に行ってはお寺などの観光ついでに個人の小さくて素敵なお店を巡ったり、雑誌に掲載されていたお店をチェックして訪ねたりしていました。住宅街や裏路地の奥でひっそりとやってるカフェのお洒落さに感動し、高揚と憧れを感じていました。振り返ってみると若い男子としてはかなり渋めの趣向ですよね。

 

その頃お気に入りだった鎌倉のお店は、まさに一軒家を改装した古民家カフェで、店主のこだわりの椅子やテーブルが置かれ、庭の方から陽が差し込む素敵な空間でした。その片隅の席に座り、まだ飲み慣れていないコーヒーを飲みながら「いつかこんなお店がやれたらいいな」と漠然と夢に描いていたことを思い出します。

 

大学生の頃は同級生と月に数回、原宿・渋谷・代官山・下北沢・高円寺など、目的に応じてバイト代を気にしながら買い物に繰り出しました。衣服は高くて買えなかったりもするけれど、いろいろなお気に入りのお店を一日中かけて歩き回って、疲れたらカフェで休む。カフェを使う頻度が増えていって、ますますカフェの空間や文化を好きになっていきました。

ある時、秋葉原駅の総武線ホームにあった書店でRELAXという雑誌を立ち読みしていた時のこと。特集がフレッシュネスバーガーで、社長さんが1号店を作ったときのお話が掲載されていました。社長さんがひょんなことから出会ったボロ物件にビビッとインスピレーションが浮かび、ハンバーガー屋さんにしていくのですが、その過程で、改装作業を依頼した業者さんとのやり取りが面白かった。

 

「床板は野地板をわざと張って天井はそのままに」

 

「ペンキはムラが出来てもいいから刷毛で塗って」

 

「釘あととかキレイにカンナで削るとかしないで」

 

と言うのです。

 

「そんなことやったことない」という業者さん。

 

新しいものや、キレイにするのが正義だった時代、昨今のようにエイジング加工やレトロブームもまだ無かった時に、わざわざ雑に荒く工事したりする感性に刺激を覚えました。

そして好きなこと、面白いと思うことをするためにはある種の強引さも必要だったり、計算では作れないお店の雰囲気があるのだろうと、とても印象に残りました。(そしてそのあと雑誌を購入しました。)もともとフレッシュネスバーガーは好きなハンバーガー屋さんでしたので、後日、実際に富ヶ谷にある一号店に行ったりもしました。

ただその頃の私は、社会人として都内のIT企業に勤めていましたので、カフェをやるとかお店をやるなどの夢や考えは頭の奥の方に仕舞い込まれ、忙しい日々を鬱々として過ごしていました。

時代も時代でしたので、残業は当たり前。ほぼ毎日終電での帰宅か、会社に泊まって徹夜をするような業務を繰り返していました。精神も削られ、このままでは壊れてしまうかと思い、自分の道を探そうと退職を決意しました。

 

それまで取れなかった時間を使って、そのタイミングでいわゆる「自分探しの旅」をしたり、様々な本を読んだり、改めて生き方を模索していく中で実家が持て余していた古い物件をリノベーションして自分達の居場所を作ろうと動き始めていったのです。

 

それがnounou cafe の一番最初の一歩めです。

旅を通して自分のやりたいことや自分の人生と向き合って考えたときに、若い頃に描いていた夢を思い出し、お店を始めたいと決意しました。

 

どんなお店にしようかと考えた時、鎌倉で憧れたお店、雑誌で見た哲学、旅先で出会った感性などが大きく影響して、DIYでお店の雰囲気を作ろうと思いました。

自分で天井を剥がしたり、わざと雑に床板や壁板を張ったり、ペンキを塗ったり。右も左も分からなかったけれど、とにかく自分の時間を生きると決めて行動し始めたその日々は、今振り返ってもとても楽しかった思い出として輝いています。

 

未完成で工事中でもいいから、とにかくやってしまえ!とメニューを考えて、営業を開始。

今思うと、ずいぶん荒削りで色々と至らないお店だったなぁと恥ずかしくなりますが、その頃から温かく見守ってもらえてたことも思い出し、とても有り難く感じています。

nounou cafeは、私の「好き」から始めて、好きな場所を作ったお店です。

まだまだ「好き」を集めていくつもりです。

勝手ではありますが、皆様には楽しみながらお付き合いいただけたらと思っております。

 

そんなわけで引き続き、自分を見失わないようにマイペースではございますが、これからもnounou cafe のストーリーは続いていきますので、応援のほどよろしくお願いいたします。